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米大手格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは3日

 米大手格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは3日、参議院が先週、野田佳彦首相に対する問責決議案を可決したことにより、衆議院解散が必要になるわけではないものの、財政赤字を補う新たな国債発行を可能にする法案などの成立メドが立たなくなるため、こうした政治的デッドロックは日本の格付けのネガティブ要因になる、との考えを示した

ムーディーズは日本の格付けを「Aa3」、格付け見通しを「安定的」としている

ムーディーズは、最近の与野党の対立は、日本が政治的機能不全に陥っていることを示しており、高水準の財政赤字や政府債務の増大を抑制するための包括的な対策を講じることが困難になっていると指摘

選挙後にソブリン信用の質を改善するためには、デッドロックを乗り越える強力な政治的リーダーシップが必要だが、そうした進展がなければ、日本は市場から国債に対するリスクプレミアムを要求されるリスクがあり、赤字や債務のファイナンスに必要なコストが非常に高くなる恐れがあると指摘した モスクワの政治軍事分析研究所(非政府系)に籍を置き、現在ワシントンのCSISで客員フェローをしているマルケドノフが、National Interest誌のウェブサイト5月29日付の「プーチンのユーラシアの野望」と題する論説において、プーチン外交の当面の重点は旧ソ連諸国とその周辺(ユーラシア)にあるが、同地域に対して覇権主義的・拡張主義的な野心は持っておらず、プーチンが2015年までの結成をもくろむ「ユーラシア経済同盟」も、政治面での統合より経済面での連携強化を目指しているものだ、と分析しています

 すなわち、「プーチン新政権の外交政策は奈辺にあるか」が諸方で議論されているが、プーチンは首相時代にも外交に実質的に関わってきたのだから、基本路線に大きな変化はありえない

 プーチンは5月7日大統領就任直後、新政権の方向を示すための「布告」をいくつか発出したそのうちの一つ「ロシア連邦の外交実施のための諸方策」を見ると、重点方向としてユーラシアが最初にあがり、米国、EU、アジア太平洋地域諸国が次に言及されている

 ロシアがこうして「ユーラシア」(実際には旧ソ連地域とその周辺を意味している)に執着しているのは、ロシアのエリートがソ連時代への郷愁を捨てきれないからでも、帝国主義的野心のせいでもなく、ロシアにとって旧ソ連諸国との問題は現在の現実的な必要性に関わるものであるからだ例えば、ユーラシアにおいては、飛び地ナゴルノ・カラバフの問題、そしてモルドヴァ共和国内部にロシア人が集住する沿ドニエストル地域の地位の問題など、解決においてロシアが大きな役割を果たすべき問題が多い

 ロシアは旧ソ連地域で重要な経済的役割を果たし続けているグルジアと戦争をした後でさえ、ロシアはグルジアにおける第6位の直接投資供与国で、特にエネルギー分野での投資は大きいまた2014年、アメリカ軍、NATO軍がアフガニスタンから撤退すると、隣接するタジキスタンとウズベキスタンは安全保障面でもロシアへの依存度を高めるだろう

 旧ソ連地域は米ロ関係において、誤解を生みがちだロシアがこの地域で何かをやろうとすると、西側はこれをロシアの拡張主義、覇権主義ととるし、ロシアはロシアで第三者が旧ソ連地域で何かをすると自分の利権が侵されたように認識する

 しかし今回の布告に見えるのは、旧ソ連地域に対するプーチンのかなり柔軟な姿勢だ南オセチアとアブハジアの独立維持については譲歩する姿勢を見せないが、モルドヴァやナゴルノ・カラバフの問題については、西側をも入れての話し合いによる解決にコミットしているのだ

 そして、プーチンは旧ソ連を復活させようとするよりも、経済に重点を置いたユーラシア経済同盟に重点を置いているつまりロシアの外交路線は攻撃的ではなく防御的なものだ

 問題は、この路線を実現するための具体的な手段は何なのかが明らかにされていないこと、そしてロシアの外交を正当化するようなイデオロギーが十分示されていないことだろうNATOとかEUなどは、明確なイデオロギーを持っている

 旧ソ連地域では、ロシアは政治的・経済的なリーダーシップをまだ取ることができるが、いつまでもそうである保証はない、と論じています

 * * *

 プーチン大統領は、就任早々活発な外交活動を見せましたアブハジア、南オセチア両国(2008年のロシア・グルジア戦争の後、グルジアから「独立」したことを標榜)の大統領と会談したのを皮切りに、旧ソ連諸国CISの首脳会議やNATOのロシア版とも言えるCSTOの首脳会議をモスクワで開き、最初の外遊先としてはベラルーシを選びました

 ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ロシアとEUの間で「二股外交」を見せていましたが、石油・天然ガスの供給をロシアに完全依存しているために、最近ではロシアに恭順的な姿勢を示していますプーチンにとっては、「ユーラシアの統合」実現への第一歩を世界に印象付けるのに至便な訪問先と言えるでしょう

 さらに、プーチンは、その足でドイツ、フランスに赴き、6月上旬には、上海協力機構首脳会議に出席するため訪中しています大統領選に入っている米国は後回しにして、欧州、中国との関係を固め、9月早々にはウラジオストクで、欠席のオバマ大統領を尻目に、中国と語らってAPEC首脳会議を仕切ろうということなのでしょう

 このような「プーチン外交」には、当面は、ポイントを挙げるための条件が揃っています

 まず、米国が大統領選挙で、本格的な外交は休止状態になりますその中でロシアは現在、ベラルーシ、ウクライナ、モルドヴァ、アルメニア、中央アジア等「ユーラシア」の諸国に対して、種々の状況から有利な立場にありますただし、石油・天然ガス市況が崩れると、ロシアの力も直ちに減殺される可能性はあります

 次に、アフガニスタンからの米軍・NATO軍撤退が始まる中、ロシアは兵器・資材の搬出路として重要な意味を持ちます

 さらに、中国も、秋に予定される党大会までは、米国に対して強面の姿勢を続けるでしょうから、ロシアは中国と提携しやすい状況にあります

 とはいえ、実際は、ロシアの力には限界があります外資を大々的に入れでもしない限り、プーチン新政権の掲げる経済の近代化、石油依存からの脱却はできないからですそして、プーチン新政権の陣容を見ると、国内利権の調整、石油への過度の依存を断ち切るための経済改革を強力に進めることのできる実力者が見当たりません

 したがって、ロシアの外交は基本的には、米国経済のリーマン危機からの立ち直り具合、ユーロ危機の帰趨、原油市場の動向、NATOの関心がコーカサス地方(とりわけ、人権・民主化の観点)に向くかどうか、といった諸条件に縛られた中でできる限定的なことから最大限の宣伝効果を上げていく、ということしかできないでしょう

 世界のマスコミは、米国大統領選挙、中国共産党大会までは、「プーチンの強面外交」を大げさに報じ、あれこれ議論するでしょうが、ロシア外交の実力の度を冷静に見定めていくべきです

選挙後にソブリン信用の質を改善するためには、デッドロックを乗り越える強力な政治的リーダーシップが必要だが、そうした進展がなければ、日本は市場から国債に対するリスクプレミアムを要求されるリスクがあり、赤字や債務のファイナンスに必要なコストが非常に高くなる恐れがあると指摘した
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