カーナビ黎明期から独自商品をリリースし続けているパナソニックIT機器からテレビ、白物、電池、ホームエレクトロニクスまでと、総合電機メーカーだけに保守的なイメージがあるけれど、ことカーナビについては実はかなり戦略的な商品を送り出している例えばジャイロセンサーが一般的じゃなかった時代に光ファイバーを使って自律航法を実現したり、今では標準的になったワイドVGAモニターを他社に先駆けて採用したりといった具合「Strada(ストラーダ)」が付けられてからも、Blu-ray&XGAモニターなんてハイエンドモデルもあったものの、低価格化の波に押されたせいか一般化しなかったのがちょっと残念ではある
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それはさておき最近ではメモリーナビのみに移行するメーカーが多い中、ストラーダはHDDモデルもラインアップ2012年夏モデルは、HDDモデルにはワイド2DIN&2DINの「Hシリーズ」がそれぞれ1機種、さらに専用フィッティングが付属する「Lシリーズ」3機種を揃えているまた、メモリーナビにもワイド2DIN&2DINの「Sシリーズ」と2DINの「Sクラス」、そして最近では少なくなったオンダッシュモニター採用の「Zシリーズ」の計4機種と、老舗ならではの幅広いモデルを揃えている
なかでも注目といえるのが車種別専用設計とすることで、8V型大画面モニターのインストールを可能にしたストラーダ Lシリーズ専用フィッティングが必要となるため装着車種が限られており、今のところホンダ「フィット」「ステップワゴン」、日産「セレナ」用の3モデルがリリースされている
■市販モデルとは思えないフィッティング
Lシリーズの試乗車となったのはミニバンのセレナ同車はもともとワイド2DIN(200mm×100mm)仕様のパネルとなっているため、汎用2DINナビ(180mm×100mm)を装着すると左右にかなり広いスペースができてしまうだが、専用設計とすることで、ボタンを画面両サイドに配置するとともに、2DINには物理的に収まらない8V型ワイドVGAモニターを使用することが可能になったのだ
画面両サイドに設けられたボタンはメニューやボリューム、現在地といった使用頻度の高いモノ一般的な2DINサイズのナビだと、画面下に小さなボタンが用意されていることが多いが、こちらはサイズが大きく押した感触もソフトで別格といえる操作感車両と同じオレンジの照明を採用するなど、ルックス的にも美しくスマートと、さすがは専用設計!といった印象だ
また、HDDを採用したH&Lシリーズは、タッチパネルに静電式を採用しているのも大きな特長いまやスマートフォンでは標準となっているが、据え置き型のカーナビで採用しているのは同社だけフリックやドラッグで操作ができるのはスマホ慣れしたユーザーには受け入れやすいし、地図をスクロールさせるのに「画面上の小さなボタンを探して押しつづける」よりはカンタンだその一方、地図の拡大/縮小などは従来どおりのボタンを使ったタップ操作で行う操作としての統一感に欠けるように思える半面、手元から離れた位置にあるデバイスでマルチタッチによる操作を行うのは使いづらそうな気もとはいえ、好みもあるので一概にはいえないけれど、フリックによる地図スクロールは便利で使いやすく感じる人が多いのではないだろうか
■専用アプリで目的地検索がスピーディ
最近のカーナビでトレンドとなっているスマートフォン連携アプローチはさまざまだが、ストラーダが選んだのはAndroidおよびiPhone用の専用アプリ「おでかけナビサポート ここいこ♪」を利用する方法このアプリは目的地の検索を行うもので、「るるぶDATA」を元にした観光スポット検索、「ぐるなび」を使ったグルメスポット検索、「Yahoo! JAPAN」を使った周辺検索と、3タイプの検索が可能となっているこれならナビの使い方に不慣れな同乗者にも操作してもらいやすいし、音声による入力も可能だからスムーズに目的地を探し出すことができるハズ
検索した目的地はBluetooth接続により、ワンタッチでナビに送信してルート探索まで自動で行われるため、まったくの手間いらずで超カンタンBluetoothというとちょっとハードルが高く感じられるかもしれないけれど、ハンズフリー通話やオーディオ再生も行えるなどメリットは大きい1度設定してしまえば次回からは自動接続されるので、これはぜひやっておきたいスマホ&常時接続環境があるなら、かなり便利で実用的といえる機能だ
■各種チューニング機能で自分色に染める
ナビの基本部分はひと言でいってしまえばストラーダらしいもの加えて本機では「マップチューン」「ルートチューン」「ガイダンスチューン」と、各項目を細かく調整する機能を備えているのが特長だ
まず、地図表示は道路を強調表示することでとても見やすく、輪郭線を付けて強調表示される文字も判別しやすいもっとも標準的な縮尺といえる100mスケールでも建物の形や一方通行表示など、市街地図に準じた情報量が盛り込まれており、常用するマップとしての満足度はかなり高いといえる半角カナがキライだとか、文字の重なり時の処理とか、「重箱の隅」をつつくようなレベルの不満がないわけではないものの、マップは総じて見やすく分かりやすい仕上がりだ
さらにマップチューンを使えば文字サイズ、地図色、道路色をそれぞれ4パターン、計64通りに変更が可能昼と夜で別々の設定ができるため、昼は文字小さめで道路重視、夜は道路より文字重視で、なんて使い分けが可能なのも便利だ
目的地の検索は住所や電話番号、名称、周辺などの情報をHDDに収録するほか、前述した専用アプリを使った検索も可能そのほか携帯電話やパソコンを使った検索にも対応するが、ユーザー専用サイト「おでかけ旅ガイド」のマイページに保存してSDまたはBluetooth携帯電話を使って転送と、ちょっと手順が面倒旅行の前に家族でわいわいやりながら自宅のパソコンを使ってルートを決める、なんて場合以外は出番がなさそうだ
ルート探索は推奨ルートとなる「おまかせ」のほか「有料優先」「一般優先」「距離優先」「eco」の5ルートを同時に行えるそれぞれの特長は文字どおりながら、こちらもルートチューンと名付けられたカスタマイズが可能となっている設定可能な項目は「有料道路優先」「道幅優先」「抜け道優先」の3つで、それぞれ低から高まで5、4、3段階に調節が可能だ走り比べるほどの時間はなかったので、実際にどこまで反映されているかは未確認だが、探索結果を見る限り距離と時間、高速料金が微妙に変化しており、確かに設定した内容とマッチしたコースになっている様子走り込みつつ調節すれば、好みに近いルートを選んでくれそうだ
また、ルート探索時には渋滞データバンクも活用これはいわゆる「統計渋滞データ」と呼ばれるもので、過去の状況から曜日や時刻における渋滞状況を予測、それを避けるルートを選ぶというものルート探索では自動的に反映されるが、任意の時間や場所のデータをチェックすることもできる
地図更新はWebユーザー登録&アンケートに答えることで3年分が無料新東名高速道路については、地図データのみアップグレード更新キットで対応しているもちろん、ルート探索も可能だが、通行料金やSA/PAの施設情報は未対応だ
■シンプル&分かりやすいルート案内
ルート案内のキモとなるのは交差点拡大図かなりデフォルメした表現ながら交差点名、レーンガイド、ランドマーク表示と必要な情報が網羅されている視点の位置が変わるアニメーション効果も採用されており、必要にして十分といった内容だ2画面表示のバリエーション的な案内として「レーンリスト」表示と「ルートガイド」表示も前者は連続する交差点での推奨レーンを、後者は右左折する交差点の情報を表示するもので、都市部などで複雑なルートを走行する際にはわかりやすく実用的だ
案内に関してもガイダンスチューンが用意されているアナウンスのタイミングや回数などが変更できるほか、カーブやレーン、合流、踏み切りといった場所での案内のON/OFFが可能同乗者がいるときは頻度を下げ、まったく知らない場所を走る時は案内を増やす、なんてことがカンタンにできる
SALAS(サラス)と呼ばれる測位システムにより自車位置精度も良好だテストでは首都高速と一般道が上下に平行している場所と、地下駐車場でチェックしたが、どちらも問題なく自車位置を表示走行中も大きく乱れることはなく、全体的に高いレベルにあるといってよさそうだ
■地デジの美しさは特筆モノ
対応ソースはフルセグ地デジをはじめDVDビデオ、Bluetooth、iPod/iPhoneなどに対応、そのほか同社の液晶テレビ「ビエラ」やDVD/Blu-rayレコーダー「ディーガ」で録画した動画をSDカード経由で再生することも可能と、豊富なソースに対応している
その中でも注目なのが地デジだビエラ譲りの映像エンジンによる地デジは鮮やかで美しいアナログからデジタルに移行して以降、7V型モニターモデルでもそう思えたが、本機ではLEDバックライト&静電式タッチパネルの採用もあって、さらに磨きが掛かった印象を受ける番組表やデータ放送にも対応しているほか、ナビ+地デジの2画面表示も可能と使い勝手も良好だ
音響設定は車種専用のセッティングが施されているほか、ナビに用意されていたカスタマイズ機能が、オーディオにも用意されているそれがオーディオチューンだ「音の匠」など音響効果をすばやく切り替えられるほか、イコライザーやバランス/フェーダーなどの項目をメニューの階層をたどらずに設定できる
■DSRC連動にも対応
オプションで注目したいのがDSRC車載器VICSと同じような路車間通信を行うシステムだが、多くの情報のやりとりが可能なことから、さまざまな道路情報を得ることが可能静止画を含めた安全運転支援情報のほか、SA/PAに設置されているITSスポットでは周辺地域の情報なども取得できるまた、ETC機能も備えているので、1台で済むのも便利だ
■対応車種オーナーなら間違いなくオススメ
8V型モニターを装着できる、という点だけを見ても魅力度は大きい一般的な7V型とは数字上ではわずか1型の違いしかないけれど、その差は歴然加えて静電式タッチパネルやLEDバックライトの採用もあり、地デジの映像は美しいのひとことにつきる
ナビまわりの機能もストラーダの集大成といった感じでこなれており、機能面はもとより使い勝手も良好だ地図表示やルート、案内のカスタマイズ機能も実用的一度設定してしまえばそれほど変更することはないだろうが、「できる」と「できない」の差は大きいこの機能をうまく使いこなせば、自分好みのルート設定や音声案内を実現できそうだ
スマホ連携に関しても文字で読むと面倒に感じるかもしれないが、実際にやってみるととてもカンタンナビ本体での操作と違って走行中でも同乗者による操作が可能だし、転送時間も一瞬というレベルなので実用度はかなり高いといえる
対応車種が少ないのが難点といえるけれど操作性や精度など、やはり専用ナビはいいなと思わせるデキ対応車種のオーナーなら購入リストのトップに挙げたいモデルだ「Strada(ストラーダ)」が付けられてからも、Blu-ray&XGAモニターなんてハイエンドモデルもあったものの、低価格化の波に押されたせいか一般化しなかったのがちょっと残念ではある
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